From: 西尾佳織
To: ○○
Date: 2020/12/28, Mon 16:07

元々はこの翻訳協力を、妊娠出産から前後1年の幅の中にいる方々にお願いしようとしていました。
というのは、私自身が2020年2月に娘を出産して、その前後で「社会ってなんだ?それはどこにあるんだ?」と思うようになったからです。
「女性の社会進出」とか「障碍者の社会的包摂」とか言いますが、そこで言う「社会」は女性も障碍者も含んでいないわけで、じゃあそのときその女性がいるのはどこなのか?障碍者がいるのはどこなのか??と思ったのです。

「社会とは何か?それはどこにあるのか?」を、このプロジェクトを通してもうちょっと実感として確かめたい、という問いがクッキリしてきたところで、翻訳をお願いすべき方は「妊娠・出産から一年以内の方」ではないかも、と思い始めました。
まだ言語化し切れていないのですが、複数の社会を渡って生きている方にお願いするのがいいのではないかと思い(妊娠・出産の経験も、社会の中の自分の位置が変わるという意味で「複数の社会を渡る」に当たる、という感覚なのですが)、そこで○○さんのお顔が浮かびました。
アメリカに留学されていたということもありますが、それよりも○○さんが学術研究と音楽の両方に立っていらっしゃることが頭にあります。
それから、英訳チームでもう一人お誘いしているダンサー、振付家の△△さんと○○さんが出会ったら面白いんじゃないか!と思ったのも大きいです。

From: 西尾佳織
To: ○○
Date: 2020/12/24, Thu 14:51

○○さん

お返事が遅くなり、すみません。
原稿無事出せたとのこと、よかったです。アップされたら是非教えてください。

おしゃべりの1回目ですが、5日の10時からでもよろしいですか?
たぶんおしゃべりがそのまま制作プロセスの一部になるだろうと私も思います。

もしかしたら肩書きの出し方問題にも多少関係あるのかなと思うのですが、私は最近業界というもののことをしばしば考えます。
去年のあいちトリエンナーレ騒動や、コロナの状況で演劇界の人たちの発言が複数炎上するのを見ながら、
アート界や演劇界に対する業界外からの憎しみってずいぶん強いんだなと思い、そして分からなくもない、と思ったりしています。
(そんなにじっくり読んでいただく必要は全然ないのですが、ここらへんのことが念頭にあります、というのを一応お送りします。)
アーティスト・ラン・スペース「サナトリウム」 – ART iT アートイット:日英バイリンガルの現代アート情報ポータルサイト (art-it.asia)
野田秀樹さん「劇場閉鎖は演劇の死」 公演自粛に意見書 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
平田オリザ氏の「炎上」発言。本意は? (blogos.com)
日本の舞台と芸術が死にかけている。新型コロナが落ち着いた時には手遅れになっているかもしれない | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

お話しできるのを楽しみにしています!

西尾

引用・参考文献

  • ※1, ※2, ※3, ※4, ※5, ※6, ※7, ※8 トリン・T.ミンハ 著, 竹村 和子 訳(1995). 女性・ネイティヴ・他者 岩波書店 (下線は西尾)
  • ※9, ※10, ※11, ※12 木村敏 著(2017). 臨床哲学対話 あいだの哲学 青土社 (下線は西尾)